職場の同僚への無視や陰口などを行うモラハラは、どんな職場においても起こりえる問題である。しかし、具体的にそれを取り締まる法律や条令がない為になかなか表にでにくく、退職に追い込まれるなど被害者が泣き寝入りしなければならないのが現状だ。

 そもそも、なぜモラハラが増えているかといえば、それは残業の多さや失敗に対する許容度の低さが誘発している場合もあるし、会社自体の構造的問題で社員に過度のストレスやノルマが押し付けられていることが原因になっている場合もある。だが、やはり一番の原因になっているといえるのは上司や部下、同僚同士のコミュニケーション不足によって起こる事態だ。同僚や上司に相談できない環境が仕事上のミスを誘発し、そして、そのミスが新たなモラハラを招く。さらに被害を相談したくてもコミュニケーションが取りずらい職場である為、被害者は結局泣き寝入りしなけれならないといった悪循環が長きに渡って続いているのだ。

 しかし、そうした職場環境を変えようと努力している企業も少なからず存在している。例えば、オフィスの固定席をなくし、空いている席に自由に座ることで、部署や立場を超えた関係が生まれるフリーアドレス制度や、ちょっとした感謝の言葉で職場の雰囲気をよくするサンクスカードなどである。実際にこれらの制度を導入することで社員の定着率や満足度が上昇するという結果が出ている。大企業ではこの問題を経営上のリスクとして意識している所が多く、ストレス度のチェックなどを行って改善を図っている所が多い。だが、中小企業の場合、この問題に対してあまり本気で取り組んでいない所が多く、その点が気がかりである。